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ベトナムで紛争やトラブルが発生した際には、以下のようにいくつかの解決方法があります。
- 協議(話し合い・交渉)
- 和解(調停)
- 仲裁
- 裁判
1. 協議(話し合い・交渉)
(1)協議(話し合い・交渉)について
これは当事者同士で紛争を解決する方法です。第三者の支援を受けず、当事者間のみで協議や反論を行うか、弁護士や専門家に依頼して代理人として対応するかの2つのパターンがあります。弁護士にお願いする場合には、一般的に以下の流れで実施します。
① 弁護士による内容証明郵便の送付
② 弁護士同士もしくは弁護士と先方との間の各種調整、協議、交渉の立ち合い
③ 2の結果によって、紛争を解決できる場合(交渉成立)と紛争を解決できない場合(交渉不成立)があります。交渉が成立できない場合には、別の紛争解決方法でアクションを起こす必要があります。
(2)ベトナム側と交渉する時の注意点
① 紛争やトラブルの多くの原因は、コミュニケーションの不備によるものです。そういった場合には、両者、両国の背景等を把握でき、かつ上手にコミュニケーションの調整できる専門家の力を借りて、両者での十分なコミュニケーションをとるだけで、根本的な問題を解決できるケースが少なくないです。そのため、紛争が発生した場合、すぐに強硬な解決方法を選ぶのではなく、まず原因をしっかり検討し、交渉で解決を試みるべきです。
② ベトナム人(特に経営者、事業者)のプライドが非常に高いです。そのため、交渉段階においては、先方のプライドに害する言い方や行動をしないように真剣に注意する必要があります。
③ 交渉で紛争を解決する際には、前向きな提案を事前に準備し、それを相手方に提示することが重要です。また、先方側のだれかに対して、その方の悪口や、センシティブ的な個人の問題等を話してはいけません。
④ ベトナム人のビジネスマンは、偉い人との関係(個人の場合は、家族です)を大事にしています。そのため、交渉の一つの材料として、先方が大事にしている誰かの偉い人から先方に何かを言ってくれると成功する可能性がが高くなります。
2. 和解(調停)
和解とは、当事者間に加え、紛争解決に関する知識や経験を持つ信頼できる個人や機関、組織といった第三者が中立の立場で仲介し、当事者間の話し合いを通じて紛争を解決する方法です。ただし、基本的には、交渉方法と同様、調停の成立やその結果を実行することは紛争当事者の意志によります。そのため、当事者がどれだけ前向きに問題解決に取り組むかが、和解の成立に影響します。しかし、専門家である第三者の参加によって、当事者の感情的な部分をある程度コントロールでき、効率的な交渉の立ち合いができることを期待できます。
和解には、訴訟上の和解と訴訟外の和解があります。訴訟上の和解とは、訴訟手続に基づき、紛争を解決する機関(裁判所)において、訴訟手続として実施されるものです。一方、訴訟外の和解とは、裁判所以外の機関、組織、個人により実施され、訴訟手続に基づく必要がないものです。
3. 仲裁
仲裁とは、独立した第三者である仲裁評議会または仲裁人が紛争を解決する判断を下し、当事者はその判断を履行しなければならない方法です。仲裁は手続選択の面で柔軟性をもたせることができるなど、当事者主導的な手続であり、そのため、紛争期間等も短縮できます。更に、仲裁決定が公開されないため機密性を確保できるというメリットも挙げられます。
仲裁手続においては、当事者の合意に基づき仲裁機関が判断を下し、仲裁判断の取消請求がない限り、その判断は最終的なものとなり、控訴の対象にはなりません。
4. 裁判
裁判とは、国家権力の下での審理機関(裁判所)において、厳格な順序、手続に従って判断する紛争方法であり、当然拘束力が認められている方法です。一方、法定手続は複雑で柔軟性に欠け、紛争解決に時間がかかるうえ、裁判公開の原則により企業秘密を守れない点には注意が必要です。
上記の4つの方法の中で、日本企業は、よく選択される方法は、以下の通りに見受けています。
TOP 1 |
交渉 → 成立できない場合は、あきらめます。 |
TOP 2 |
交渉 → 成立できない場合は、仲裁を起こします。 |
TOP 3 |
交渉 → 成立できない場合は、裁判を起こします。 |
TOP 4 |
交渉をせずに、仲裁や裁判を選択します。 |
ベトナム ラスカイ省 写真家 弁護士 レ・ヴァン・ホア