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1. 規制の概要
事業名:ベトナム国内労働者派遣事業 |
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ベトナム法上の正式事業名 |
CPCコード |
VSICコード |
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1. 労働および雇用に関するコンサルティング、紹介、仲介を行うセンターや代理店の活動 |
無し
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7810 |
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2. 一時的な労働力の提供 |
7820 |
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3. 労働力の供給および管理 |
7830 |
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投資・事業に関する条件 |
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WTOコミットメントに基づく条件 ベトナム国内法令に基づく条件
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(1)ベトナム国内労働者派遣事業は、WTO上コミットされていません。しかし、ベトナム市場へのアクセス制限分野に該当していないため、外資企業は100%単独でベトナムで人材紹介会社を設立できると解釈されます。 (2)国境を越えて、サービスを提供することは、基本的に認めません。しかし、例外として、収益を目指すための事業活動ではなく、グループ会社や関係者間での人事異動(出向)を認めます。具体的には、以下の二つのパタンがあります。 ① ベトナム会社の人材を日本の親会社や関係会社に移転させるケース この場合は、ベトナムの会社では、特にライセンス等を取得する必要がありませんが、海外に移転させる前に、労働・傷病兵・社会福祉局への報告が必要です。 また、日本で企業内転勤の在留資格を取得するためには、ベトナム現地での雇用期間が12か月以上であるという条件を満たす必要があります。 ② 日本の会社の人材をベトナムの子会社や関係会社に出向するケース この場合は、日本の会社とベトナムの会社との間の出向契約を締結する必要があります。それに基づき、当該出向者のベトナムでのワークパミットを取得すれば、ベトナムで勤務することができます。 (3)労働者派遣事業自体は、条件付事業分野に該当しますので、労働者派遣に関する事業活動ライセンスを取得する必要があります。 |
2. 労働者派遣ができる業種一覧
以下の業種だけに、労働者の派遣事業を行うことができます。
① 通訳/翻訳/速記。
② 秘書/行政アシスタント
③ 受付
④ 旅行ガイド
⑤ 販売支援
⑥ プロジェクト支援
⑦ 生産システムのプログラミング
⑧ テレビ・通信機器の製造、設置
⑨ 建設機械、製造用電気システムの操作/点検/修理
⑩ 建物、工場の清掃
⑪ 資料編集
⑫ ボディガード/警備
⑬ テレマーケティング/カスタマーサポート
⑭ 財務、税務問題の処理
⑮ 自動車の修理/点検
⑯ 工業技術図面のスキャン、作成/インテリアデザイン
⑰ 運転
⑱ 船舶の管理、運行、保守、およびサービス
⑲ 石油リグの管理、監督、運行、修理、保守、およびサービス
⑳ 航空機の操縦、サービス/航空機とその機器の保守、修理/運行管理、フライトオペレーション/飛行監視。
3. 労働者派遣に関する事業活動ライセンスの取得、事業者の報告義務
(1)労働者派遣に関する事業活動ライセンスを取得するための要件
労働者派遣に関する事業活動ライセンスを取得するために、以下の要件を満たす必要があります。
条件 |
詳細 |
定款資本金 |
規定がありませんが、少なくともデポジット金₊事業流動資金の合計額が必要です。 |
デポジット金 |
20 億ドン このデポジット金は、ベトナム国内の銀行でのエスクロー口座に振り込み、事業活動ライセンスの有効期間中にそのまま維持する必要があります。 |
法定代表者に関する条件 |
会社の法定代表者は、以下の条件を満たす必要があります。
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(2)労働者派遣に関する事業活動ライセンス取得に関する実務的な注意点
- 上記の通りに、外資企業でも労働者派遣に関する事業活動ライセンスを取得し、労働者派遣事業に進出することができると述べましたが、外資企業による申請の事例が少なく、また労働者派遣事業自体もセンシティブ的な事業とみられています。そのため、外資企業が労働者派遣に関する事業活動ライセンスを取得するのは容易ではなく、かなりのハードルがあります。
- 労働者派遣に関する事業活動のライセンスの管轄機関は、人民委員会です。人民委員会の管轄であるため、通常の手続きと若干処理期間が長くなり、前例の期間等を参考しても意味がない場合があります。
- 労働者派遣に関する事業活動の期間は、最大60か月間です。期間を終了した後、更新することができます。
(3)事業者の報告義務
6ヶ月ごとおよび毎年、労働者派遣業務の状況報告を作成し、企業の本社が所在する省の人民委員会議長、労働・傷病兵・社会福祉局、および工業団地・経済区管理委員会に提出しなければなりません。同時に、他の省の地域で労働者派遣を行う場合、その地域の労働・傷病兵・社会福祉局および工業団地・経済区管理委員会にも、その地域における労働者派遣業務の状況を報告する必要があります。6ヶ月ごとの報告は6月20日までに、年間報告は12月20日までに提出しなければなりません。