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01 - 破産手続開始の申立権者と義務者は誰か? |
企業が支払い不能に陥った場合、以下の者が破産手続開始を申立てる権利または義務を有します。
支払い不能の定義:
支払い不能とは、企業または協同組合が債務の支払い義務を、支払い期日から3か月以内に履行できない状態を指します。
申立権者および義務者:
- 無担保債権者および一部担保付債権者
- 債務の支払い期日から3か月経過しても、企業が債務を履行しない場合。
- 労働者、基礎労働組合、上位労働組合
- 企業が、賃金やその他の労働者への債務を3か月経過しても支払わない場合。
- 企業の法定代表者
- 法的責任を持つ代表者。
- 企業の主要経営者
- 個人事業主、株式会社の取締役会会長、有限会社の代表者(1人または複数メンバー)。
- 株主または株主グループ
- 連続して6か月以上、普通株式の20%以上を所有している場合。
- 普通株式の20%未満を所有する株主または株主グループも、会社定款で定められた条件に基づき、支払い不能の場合に申立てを行う権利を持ちます。
実務上の注意点:
破産手続きは、企業の財政的困難を正式に解決する手段です。適切な法的プロセスを理解し、申立権者が適切に権利を行使することで、透明性と公平性のある手続きが保証されます。
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02 - 破産手続きの流れ |
破産手続き申請時の注意点
企業が自ら破産手続きの申請を行う場合、支払い不能状態であることを証明するために、以下の書類および資料を添付する必要があります:
必要書類・資料:
- 過去3年間の財務諸表
- 企業または協同組合が設立されてから活動期間が3年未満の場合は、その全活動期間における財務諸表を提出。
- 支払い不能に至った原因の説明書
- 支払い不能状態に至った原因の詳細な説明。
- 支払い不能を解消するために実施した改善措置の結果報告書(改善できなかった場合の記録を含む)。
- 資産および資産所在場所の詳細リスト
- 企業または協同組合が保有する全資産の詳細と、その資産の所在場所を記載したリスト。
- 債権者および債務者のリスト
- 債権者および債務者の氏名、住所、債務額、担保の有無(担保なし、一部担保付きなど)を明確に記載したリスト。
- 企業設立関連の書類・資料
- 企業または協同組合の設立および登録に関する全ての関連書類。
- 資産評価または査定結果(該当する場合)
- 残存資産の評価および査定結果の書類がある場合、それを添付すること。
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03 - ベトナムにおける企業破産手続の現状 |
破産手続の受理状況
ベトナムにおける破産法は2004年に制定され、2013年に改正されましたが、それ以降の破産申立件数は限定的です。具体的には、2004年から2013年の改正までの間に受理された件数は336件、2014年から2023年9月30日までの間には1,510件が受理されています。
破産案件の処理状況
2015年1月1日から2023年9月30日までの間、ベトナムの人民裁判所(TAND)が処理した1,510件の破産案件の内訳は以下の通りです:
- 破産手続開始決定: 554件
- 申立書の返却: 66件(うち1件は申立人による申立書の取り下げによるもの)
- 破産手続を開始しない決定: 234件
- 破産宣告決定: 150件(うち44件は簡易手続によるもの)
- 破産手続の中止決定: 49件
- 再審査または異議申し立て: 開始・不開始決定に対する異議申し立てが12件、破産宣告決定に対する異議申し立てが14件
- 事業再建手続の適用: 6件
債務執行の状況
ベトナム司法省の統計によれば、2015年から2023年にかけて、破産案件における債務執行の総額と実行率は年々増加しています。例えば:
- 2015年:
- 処理件数:42件
- 債務総額:305億ドン
- 実行可能案件:13件(155億ドン)
- 実行率:84.62%(金額ベースでは56.51%)
- 2023年:
- 処理件数:324件
- 債務総額:2,198.8億ドン
- 実行可能案件:202件(1,710.5億ドン)
- 実行率:31.68%(金額ベースでは87.90%)
実務における問題点
- 不正行為:
債務者が破産申立前に主要な資産を第三者へ譲渡し、資産を減少させる事例が見受けられます。これにより、債権者は詐害行為への対応負担が増し、債権回収が困難になることがあります。 - 債務者による破産申立:
特に債務者本人が破産申立を行う場合、免責を目的とした不正な交渉や手段が用いられるケースがあります。 - 一般的な傾向
破産手続が開始された企業の多くは、既に弁済能力を喪失しており、債権者が満足する形で債権を回収できる資産を持たないケースが一般的です。