公開 2024年09月06日  I 更新 2025年03月08日

ベトナム国外からベトナム国内に借入れ(ローン)をするには

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ベトナム国外からベトナム国内に借入れ(ローン)をするには


資金調達 公開 2024年09月06日  I 更新 2025年03月08日
目次

ベトナム進出後において、運転資金や事業拡大のために、資金調達に迫られることは多くあります。日系企業の場合、日本の親会社または関連会社、もしくは、日系金融機関等から資金調達するケースが多いです。このような、ベトナム国外からの借入れを行う場合、いくつかの法的な注意点があります。特に、ベトナム国家銀行(以下「SBV」という。)は、借入金の使用目的を厳しく管理しています。そのため、ローン契約を作成する場合、当該契約に定める借入金の使用目的は実体に適合したものでなければなりません。また、当該ローン契約の実行時において、SBVに提出・報告した借入金の使用目的等を遵守する必要があります。なお、借入金の使用目的に変更がある場合には、新たに、登録・報告事項の更新手続を実施する必要が生じます。

 

01 - 一般的な注意事項

 

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借入れの目的について

 

最も重要なことは、借入金を適法かつ目的に適うように使用することです(詳細は以下で記載します。)。ベトナム国外からのローン契約には、借入金の使用目的を明確に記載する必要があり、また、当該資金は、その目的どおりに使用しなければなりません。ローン契約に基づいて入金が実行されたものの、直ちにその資金を使用する必要がない場合には、その資金をベトナム国内金融機関や外国銀行支店において、最長1ヶ月間、預金として保持することができます。

 

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借入通貨

 

ベトナム国外からの借入金の通貨は外貨でなければなりません(例:米ドルや日本円)。ベトナム国外からベトナムの通貨であるベトナムドンで借り入れることもできますが、それは例外的な場合です。また、通常、借入金の返済は借入時の通貨を用います。

 

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外国契約者税

 

ベトナム国外から、貸主が受け取る利息には、5パーセントの外国契約者税が発生します。一般的には、貸主借主の両当事者において、利息を含むすべての弁済・支払額につき、「(外国契約者税の)控除なし」「税抜き」または「相殺なし」での手取り額を決めます。そして、借主が、自身の負担で、当該貸主に対し、利息を支払う際に、代行して外国契約者税の申告・納税を行います。

 

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関係者間での借入の場合

 

ベトナム国外からの貸主が、借主の株主、社員(出資者)、所有者、または他の関連者(支配権を有する者等)である場合、借主は、ベトナムの企業法が定める関連者間取引に関する内部承認手続等を行う必要があります。

 

02 - 長中期の借入(初回借入れから、元本返済日までの期間が1年以上の場合)に対する各種規制

 

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借入目的

 

次の目的に限定して、長中期の借入を実行することが可能です。

   借主の投資プロジェクトの実施のため

   借主の生産計画、事業計画、その他の事業に関するプロジェクトの実施のため

   既存借入の借り換えのため

 

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借入額の上限

 

借入金額には上限あります。以下に記載する制限を厳守する必要があります。

   会社の投資登録証明書(IRC)に登録した借入枠内(投資プロジェクトの総投資額と自己資本(出資分)の差額)。(※投資プロジェクト実施のための借入である場合に適用します)。

IRCに記載した借入枠を超過する額の調達には、IRCの借入枠の変更を行わなければなりません。ただし、IRCの更新には時間がかかります。資金調達のスケジュールとの関係で、早期借入実施を実行するには、IRCの更新期間中に、同時並行で短期借入を実行して、その後短期借入から長中期借入に変更することも可能です。

   管轄機関に承認された外国からの借入額の使用計画に基づく資金調達の合計額内(借主の生産計画、事業計画、その他の事業に関するプロジェクトの実施のための借入である場合に適用します)

   既存の外国からの借入金の未払元本、未払利息、手数料の総額及び新規借入金の手数料の合計額内(借主の既存借入からの借り換えの場合に適用されます)

 

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入金及び返済口座

 

   借主が外国からの直接投資方式によって設立した企業(単独または合弁で新設した企業)の場合は、直接投資資本口座を、を通じて実施する必要があります。

※外国からの直接投資方式によって設立した企業は、会社に出資するために、必ず直接投資資本口座を開設する必要があります。外国からのローンもその口座を通じて行われます。

   借主が外国からの直接投資方式によって設立した企業ではない(内資、もしくはM&Aによって外資になった企業)場合には、外国借入・返済口座を通じて実施する必要があります。

※借主が外国からの直接投資方式によって設立した企業ではない場合は、直接投資資本口座を保有しませんので、外国からのローンを入金・弁済するために、使用する外国借入・返済口座を新たに作る必要があります。

 

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ベトナム国家銀行(SBV)への借入登録

 

   国外からの中長期の借入はSBVに登録する必要があります。具体的な登録先は、以下の通りになります。

§  借入額が1,000万米ドル以上またはそれに相当する外貨額の場合はSBVの外貨管理局、

§  借入額が1,000万米ドル以下またはそれに相当する外貨額の場合は地方のSBV支店

   また、原則として、SBVに新規登録又は更新登録の手続きを完了しないと、借主は借入金の引き出し、又は先に一部の返済(元本・利息等)を行うことができません。かつ、借主は、短期借入と同様に、外国からの借入実施と返済状況を定期的に報告しなければなりません。

   SBVへの登録は、ローン契約を締結してから30日間以内に実施する必要があります。

 

03 - 短期借入(初回借入金実行日から最終元本返済日までの期間が1年未満の場合)に対する各種規制

 

※当初、短期借入の想定が、資金不足等で返済できず返済期間が1年を超えた場合には、新たに、ローン契約にその内容を反映させる必要があります。併せて、当該ローン延長契約を締結してから30日以内に、短期の借入から長中期の借入に変更したとしてSBVでの登録手続が必要です。

 

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借入の目的

 

次の、短期借入を行うことができる目的は次のものです。

   借主の既存借入の借り換え

   現金での短期負債の支払い(国内の借入金の元本を除く)

 

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借入額の上限

 

中長期の借入と異なり、短期借入では、上限なく借入金額を定めることが可能です。しかし、借入金の使用目的と返済計画を銀行(SBVではなく、送金を担当する商業銀行)に説明・提出する必要があります。そのため、使用目的や返済計画が不適当、または、マネーロンダリングを疑われるような送金とみなされれば、当該借入の送金ができない可能性があります。

 

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入金及び返済口座

 

外国からの直接投資方式によって設立したか否かにかかわらず、外国借入・返済口座を通じて借入を行うことができます。また、直接投資資本口座を保有している借主が、外国からの直接投資方式によって設立された企業であっても、外国借入・返済口座を開設し、その口座を通じて短期借入をすることが認められます。

 

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SBVへの借入の登録

 

外国からの中長期の借入と異なり、短期の借入は、SBVに登録する必要がありません。しかし、借入金の入金や返済状況について、定期的な報告が必要になります。月次報告は、報告対象月の翌月5日までに、電子ポータルサイト「https://qlnh-sbv.cic.org.vn/qlnh/」を通じて、報告書を送付するか、または、書面で郵送するかのいずれかにより、実行する必要があります。電子ポータルサイトを通じて報告書を提出することができない場合(技術的なエラー等)には、借主の本社所在地の地方SBV支店に書面での報告を郵送する必要があります。仮に、報告をしなければ、罰金が科せられることになります。

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