公開 2024年08月30日  I 更新 2025年03月08日

日本の化粧品をベトナムに輸入する際の規制・手続

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日本の化粧品をベトナムに輸入する際の規制・手続


貿易 公開 2024年08月30日  I 更新 2025年03月08日
目次

日本の化粧品をベトナムに輸入し販売するためには、厳格な規制と手続が要請されます。本稿では、化粧品開示手続、商品情報ファイル(PIF)の管理、ラベル表示の要件など、必要な手続を段階ごとに説明します。また、成分規制、公式ルートおよび非公式ルートでの輸入リスクについても触れ、ベトナム市場における効率的かつ法令遵守の輸入・販売活動をサポートする情報を提供します。

01 - 関係図

 

 

02 - 輸入手続

 

化粧品をベトナムに輸入するためには、以下の手続を行う必要があります。

手続や、対応が必要な項目

必要書類等

1.  化粧品開示手続

 

  •       化粧品開示申請書
  •       日本のメーカーや輸出者からの委任状(日本での領事認証が必要です)※委任状には、記載すべき必須事項があるため、事前に確認しておく必要があります。

注意事項:

  •      手続の実施者(申請者)は、ベトナム現地法人の輸入者、販売者となります。直接、日本のメーカーや輸出者の名義では、行うことができません。
  •       一つの商品(SKU)に対して、一つの申請書を作成し、提出する必要があります。
  •      日本のメーカーや輸出者は、開示者(申請者)に商品の細かい情報(成分情報等)を開示する必要があるため、秘密保持契約等をきちんと締結する必要があります。
  •      当局管轄機関:保健省医薬品管理局
  •      手続の結果:保健省医薬品管理局から化粧品開示書受領番号

        この化粧品開示書受領番号の有効期限は5年です。

  •      申請書での成分記載ルールがあるため、これを厳守する必要があります。また、開示書に記載する成分とラベルに記載する成分が一致することが要請されます。
  •      化粧品に入っている成分は、ベトナム保健省医薬品管理局が定めている化粧品の配合禁止成分リスト、配合成分の制限基準リストに該当してはいけません。また、場合によって、ベトナム保健省医薬品管理局が定めている化粧品の配合禁止成分リスト、配合成分の制限基準リストに該当しなくても、当局の判断で、許可されない可能性もあります。

 

2.  通関手続

(商品の査証手続が不要です。)

  •       税関申告書
  •       売買契約書(又は代理店契約書)
  •       インボイス
  •        B/L
  •        輸入品の輸入価格申告書
  •        成分開示証明書
  •        物品リスト
  •        原産地証明書(C/O
  •        その他文書等

 

03 - 商品情報ファイル(PIF - Product Information File)の整備、保管

 

化粧品の流通者は、個別商品に対して以下の項目で構成される商品情報ファイル(PIF - Product Information File)を整備し、保管する必要があります。検査機関からの要求がある場合には、すぐにPIF書類を提出しなければなりません。

  •       商品に関する事務的な書類、商品の概要
  •       原材料の品質
  •       成分の品質
  •       商品の安全性及び効果

 

04 - 化粧品の表示、ラベル

 

化粧品ラベルは、商品の詳細や構成要素を分解することなく、指定された内容を確認できる位置において、ラベルを、商品および商品の商業用パッケージに貼り付ける必要があります。ラベルには、以下の内容を記載しなければなりません。

  •       化粧品の名称および効用
  •       使用方法
  •       すべての原材料名
  •       原産国
  •       国内の流通者の法人名または個人名
  •       容量または重量
  •       製品のロット番号
  •       製造日または使用期限
  •       使用上の注意事項

なお、表示言語は英語またはベトナム語とされていますが、上記のラベル表示内容のうち、「国内の販売会社名または個人」、「使用上の注意事項」、については、ベトナム語での記載が必要です。

 

05 - その他注意事項

 

  •      ベトナム現地法人を通じることなく、直接日本のECサイトからベトナムの消費者に化粧品を販売するケースも近年は多いです。その場合には、①正式のルートから輸入するか、②正式ではないルートから輸入するという2つのパターンがあります。
  •       化粧品の金額が、2.000.000VND以下の場合には、消費目的で輸入するという意味で、化粧品の開示手続は不要です。他方で、その金額を超えた場合には、貿易目的であるとみなされ、保健省医薬品管理局から化粧品開示書受領番号を取得できなければ、輸入することができません。
  •       正式ではないルートから輸入するケースも多いです。そのリスクは、万が一市場管理機関の調査や消費者への不具合等が発生する場合には、市場に流通しているそのメーカーの商品を回収され、今後ベトナムに正式に輸入するパターンに変更してもうまくできない可能性があるということです。

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