公開 2026年01月05日  I 更新 2026年01月05日

主間契約と「実質的所有者」制度 ベトナム企業に与える本当の影響

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主間契約と「実質的所有者」制度 ベトナム企業に与える本当の影響


イベント 公開 2026年01月05日  I 更新 2026年01月05日
目次

主間契約と「実質的所有者」制度 ベトナム企業に与える本当の影響

ベトナムでは、株主間契約(株主協定/合弁契約/メンバーシップ契約)が、企業設立前から広く活用されてきました。法令上の明確な定義は存在しないにもかかわらず、スタートアップから外資系大企業まで、出資やM&Aの場面でほぼ必ず登場します。

本質的には、株主間契約とは 「オーナー同士の契約」 であり、

  • だれが拒否権を持つのか
  • 主要人事をだれが任命するのか
  • 資金の流れをだれがコントロールするのか
  • 持分(株式)の譲渡や定款変更をだれが止められるのか
  • 利益配分をどう設計するのか

といった、企業内部の権力配分と利害調整のルール を細かく定めるためのツールであると言えます。

 

01 - 株主間契約の法的地位:会社を当然に拘束するのか?

 

重要なポイントは、株主間契約はベトナム企業法に明記された「公式な法律文書」ではないという事実です。

したがって:

  • 内容・範囲・法的拘束力
  • どのように執行されるのか

について、法律上の統一ルールは存在しません。

行政手続きにおいて、企業が株主間契約を提出したり公開したりする義務もありません。むしろ、定款や企業法と矛盾する条項は、裁判所で無効と判断されるリスクさえあります。

そのため、株主間契約は基本的に 「株主同士の民事契約」 にすぎず、契約内容が 自動的に会社を拘束するわけではありません

会社を拘束したい場合には、

  • 取締役会や経営陣への指示として落とし込む
  • 定款へ反映する

といった 企業ガバナンス上の手続 を必ず設計する必要があります。ここを誤ると、「契約では合意していたが、会社は従わない」という、外資企業でよく見られる紛争に発展します。

 

02 - 実質的所有者(Beneficial Owner)制度がもたらす新しい転換

 

2025年以降、状況は大きく変わり始めました。「実質的所有者(受益者所有者)」の把握制度 が導入されたことで、株主間契約が果たす役割は、単なる内部契約ではなくなりつつあります。

財務省が各地の企業登録機関に送付した内部資料では、「企業支配は、持株比率だけでなく、株主間契約などの私的合意からも生じ得る」と明確に指摘されています。

さらに、以下のようなケースも 「支配権」 として扱い得ると説明されています:

  • ある個人の承認がなければ重要決定が通らない
  • 創業者の影響力やブランド力による事実上の支配
  • 株主協定や覚書による非公式な拘束

つまり、株主間契約は「企業を実際に支配している人物」を判断する重要資料と位置付けられました。企業が実質的所有者を申告する際、株主名簿だけでは不十分で、株主間契約の内容まで検討する必要があるということになります。

 

03 - 法的リスク:公開しない「内部契約」が問題になる時代

 

これにより、従来は「社内だけの秘密」と考えられてきた条項が、透明性チェックの対象へと変わります。もし株主間契約によって、ある個人が会社を事実上コントロールしているにもかかわらず、企業がその情報を申告しなければ、不正確な情報提供 とみなされ、行政リスクや制裁の対象となる可能性があります。

今後、株主間契約は:

  •     紛争リスク管理
  •     実質的所有者の適切な申告
  •     コンプライアンス体制の証跡としての役割

という、より公的に近い性質を帯びていくことになります。

 

企業への実務的提言(失敗しないために

ベトナムで事業を行う企業、とくに日系企業は次の点を再確認すべきです:

1️⃣ 株主間契約と定款に矛盾がないか精査する
2️⃣ 会社を拘束したい条項は、必ずガバナンスに落とし込む
3️⃣ 実質的所有者制度との整合性を事前にチェックする
4️⃣ 出資・M&Aの初期段階で、法務デューデリジェンスを行う

「契約があるから安心」という時代ではなく、契約・制度・運用が三位一体で設計されているかが問われる時代になりました。

 

まとめ:株主間契約は、もはや「裏契約」ではな

実質的所有者制度の導入により、株主間契約は 企業支配を判断する公式の材料 へと位置付けが変わりつつあります。適切に設計すれば、ガバナンス強化・紛争予防・透明性向上という強力な武器になりますが、誤れば 法令違反や紛争リスクを増幅させる要因にもなります。

弁護士法人ベトホ(BETOHO Law Firmでは、実務経験に基づき、株主間契約の設計・レビュー、実質的所有者制度への対応、M&A・ガバナンス全般についてサポートいたします。

ベトナムでの投資や会社運営に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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