2025年7月1日から、電子識別・認証に関する政令69/2024/ND-CP が正式に施行されます。同政令第7条、第12条、第40条4項に基づき、ベトナムで設立・登録されるすべての企業は、電子IDアカウント(VNeID) を取得し、税務・海関・社会保険・ライセンス申請など、あらゆる行政手続きをオンラインで行うことが求められます。
これは、行政プロセスの全面デジタル化と透明性向上を目的とした大きな一歩です。しかし、特に 法定代表者が外国人であるFDI企業 にとって、実務上の大きな課題が見え始めています。
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01 - 問題の核心:外国人代表者は「レベル2電子ID」を取得できるのか? |
企業電子IDを申請する際、法定代表者本人がレベル2電子IDを保持していることが条件となります(第12条1項)。ところが現状、政令69第7条2項では次のように規定されています:
- 外国人は、ベトナムで一時滞在カードまたは永住カードを取得している場合、レベル1およびレベル2電子IDの発行対象となる。
つまり、
➡ 滞在カード(TRC/PRC)がない外国人代表者→ レベル2電子IDを取得できない→ 結果として 会社の電子IDも登録できないという事態が発生し得ます。
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02 - 進展はあるのか?——修正政令のドラフト動向 |
2025年12月4日に公表された政令69の修正案(ドラフト) では、次の重要な変更が提案されています:
- 「合法的に入国した外国人には、滞在形態を問わず電子IDを発行できる」
- これは、非居住の外国人代表者でもVNeIDを取得できる可能性を開く内容です。
しかし、上記の法令改正は、あくまで法案であり、そのまま法令として公表するかどうか、まだ未定です。
【いま企業が知っておくべき現状(2026年1月時点)】
現段階では:
- 電子ID未登録の企業→ 行政アカウント停止や罰則はまだ発生していない
- ただし今後は確実に運用が強化される見通し
一方で、外国人が滞在住所を持たないまま入国するケースでは、レベル2電子IDの審査が厳格化される可能性があります。
将来的には、法定代表者にベトナム居住(TRC取得)を義務化という方向へ進む可能性も、完全には否定できません。
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03 - 実務的アドバイス:FDI企業は何を準備すべきか? |
今すぐ慌てる必要はありません。しかし 準備を始める企業が、トラブルを回避します。
✅ まず確認すべきチェックリスト
1️⃣ 法定代表者は外国人か?
2️⃣ TRC(滞在カード)を保有しているか?
3️⃣ 電子IDレベル2取得の要件に合致しているか?
4️⃣ 代表者を複数設定するスキームが必要か?
5️⃣ 今後の政令修正案に対応できる体制か?
🚩 特に注意したい企業
- 日本本社の役員が形式的に代表者となっている
- ベトナム常駐者がいない
- 担当者が頻繁に入れ替わる
このような企業は、行政手続きそのものが止まるリスクを早めに評価すべきです。