ブイ・ホン・ズオン

ベトナム国弁護士・和解調停人・破産管財人・社外監査役

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1. ベトナムにおける通所介護事業に関する外資規制、事業条件

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1. 事業の区分

 

事業名:通所介護事業(デイサービス)

ベトナムでは、日本のようにデイサービス事業が普及していません。デイサービス事業という包括的な事業ライセンスは存在せず、サービス内容に応じて事業の区分が異なります。典型的には、以下の通りです。

デイサービスのサービス内容

該当事業・投資分野

高齢者の送迎(デイサービスセンター等への送迎)
客の輸送業

客の輸送

  •      入浴、排泄、食事の介助
  •      簡易な機能訓練
  •      健康維持
  •      生活の質の向上

高齢者介助サービス事業

 

2. ベトナムにおける客の運送事業についての外資規制

 

事業名:陸上旅客輸送サービス

ベトナム法上の正式事業名

 CPCコード

VSICコード

陸上旅客輸送サービス

7121

7122

4931

4932

WTOコミットメント

日越条約

国内法令

WTOコミットメントにより、事業協力契約または合弁事業を通じて、外国側の出資比率が49%を超えない範囲で旅客輸送サービスを提供することができると規定されます。

つまり、外資投資家は、陸上旅客輸送サービスを提供するために、以下の二つの条件を満たす必要があります。

  •      進出形態:事業協力契約(BCC)または合弁
  •      出資比率:49%を超えない
  •  100%の運転手は、ベトナム人であること

■  コメント

  •      上記の通りに、外資100%である場合は、陸上旅客輸送サービスに進出することができません。
  •      そのため、高齢者の輸送(デイサービスセンター等への通所のための運送)をデイサービスから外すか客の輸送業の資格を有するベトナム国内のローカル会社と連携し、乗客と客の輸送業者と直接契約を結んで、デイサービスセンター等まで運んでもらうという対策を検討する必要があります。

 

3. 高齢者介助サービス事業について

 

事業名:高齢者介助サービス事業について

ベトナム法上の正式事業名

 CPCコード

VSICコード

その他、人の健康介助サービス

(高齢者の健康介助サービス)

9319

8730 

WTOコミットメント

日越条約

  •      WTOコミットメントでは、高齢者介助サービス事業を外資企業に開放することを約束していません。つまり、外国投資家は、高齢者介助サービス事業に投資することができるとは保証されておらず、個別申請によって、個別判断に基づき許認可の取得を行います。
  •      AFASASEANサービス枠組み協定):CPC 9319の小項目であるCPC 93191(出産および関連サービス、介護サービス、理学療法および看護サービス)を、外資企業にもオープンにしており、100%外資の単独で行うことはできます。CPC 93191以外の小項目については、単独で行いことができず、外資の保有率が70%を超えない範囲で、ベトナムローカルパートナーと合弁で行う必要があります。
  •      CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定):CPC 9319の小項目であるCPC 93191(出産および関連サービス、介護サービス、理学療法および看護サービス)が外資企業に対して100%オープンにされました。つまり、日本を含むCPTPPに加盟する外国投資家は、ベトナムでCPC 93191の事業を100%外資単独で行うことができます。
  •      日本は、CPTPPに加盟していますので、CPTPPを優先に適用することで、貴社は、ベトナムでの介護サービス(高齢者健康介助サービスを含む)を行うことができると解されます。しかしながら、事業の登録機関は、WTOコミットメントの規定には慣れていますが、AFASCPTPP等の規定には慣れていないという実務的な問題があります。そのため、WTOコミットメントでは解放されていないものの、CPTPPによって解放されている事業については、簡単には登録することができません。少なくとも、当局に対して、CPTPPの規定の存在と規定の内容について説明し、理解と納得をしてもらうようにする必要があります。ただ、困難ですが、登録は可能であると考えられます。

国内法令

ベトナム高齢者法(2009年)、政令No. 06/2011/NĐ-CP号、政令No. 103/2017/NĐ-CP

条件付事業分野に該当しますので、以下の条件を満たす必要があります。

 

 ■ 必要な条件

順番

条件

詳細な内容

1

設立形態

協会として設立するか、法人(一般法人か、社会法人)として設立することができます。

2

施設の代表者の条件

施設の代表者は完全な民事行為能力を持っていなければなりません。

善良な道徳的資質を持ち、社会的悪に苦しむことがなく、刑事訴追の対象とならないこと、及び有罪判決を受けているが、まだ抹消されていない対象に該当しないことが必要です。

3

環境及び地位

交通、学校、病院等アクセスに便利であり、利用者の健康に有益な環境のある場所に配置する必要があります。

日常生活に必要な電気ときれいな水道があることが必要です。

4

施設

施設は、次の最低限の物理的条件を確保する必要があります。

a.  土地の面積(建物の場合は、フロアの面積): 農村部では平均30/名、都市部では 10/名です。

b.  利用者の居住面積の平均は、少なくとも6 /名です。リビングルームには、利用者の日常活動に必要な家具等が備え付けられていなければなりません。

c.  施設には、居住エリア、キッチンエリア、職員と従業員の作業エリア、エンターテインメント施設、上下水道、電気、内部道路がなければなりません。

d.  施設や設備は、高齢者が利用しやすいように設計されている必要があります。

5

人材

a.  利用者に直接助言し、介助するスタッフを配置すること

b.  従業員は、以下の条件を満たさなければなりません。

  •      利用者に介助することができる健康を有すること。
  •      完全な民事行為能力を有する。
  •      善良な道徳的資質を持ち、社会的悪に苦しむことがなく、刑事訴追の対象にならないこと、および有罪判決を受けてそれが抹消されていない状態でないこと
  •      介助する機能を有すること

c.  従業員の数は、利用者の規模に合わせて十分に配置すること。

 

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