公開 2024年12月26日  I 更新 2024年12月26日

【ダナン特集】投資にあたっての特徴・優遇策等について

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【ダナン特集】投資にあたっての特徴・優遇策等について


投資・進出 公開 2024年12月26日  I 更新 2024年12月26日
目次

貴社がダナンに投資される場合の行政対応や投資登録証明書(IRC)の期間制限、地元企業との提携ポイントにつき、弊所の実務経験等を交えて解説します。特に、税務面への関心が高いと推測されますので、ハイテクパークや集中IT地区で提供される法人所得税の減税、輸入税の免除、インフラ費用補助などの優遇措置を紹介しています。ダナンへの進出を検討している外国投資家、とりわけ日本企業にとって、ビジネスチャンスを最大限に活かすための有益な情報源となれば幸いです。

01 - ダナンでの投資環境の特徴

 

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異なる市場と行政対応

 

ダナンは、国内外の投資家が大きな関心を持つ都市です。この都市の行政対応は、ハノイやホーチミンに比較して、案件の処理速度において大きなメリットがあるのが特徴です。

しかし、実際に対応する場合には、投資案件の手続などで、実務的に、ハノイやホーチミンよりも手続が難航することもあります。たとえば、IRCERCの取得に際し、外資企業に慣れていないことから法律等の規定と離れた不正確な要求が出されることもあります。また、外国からの投資件数や投資する分野・事業が限られているため、新しいスキームや、珍しい事業などでの申請ですと、保守的に判断される場合も多いです。 

ただし、ダナン政府全体は、海外からの投資家を歓迎する方針を有するため、外資企業が困っている際には、地方のトップ機関である人民委員会と相談する機会を設けることができます。人民委員会との協議次第ですが、トップレベルの判断を知ることができるため、円滑に進められる場合もあります。

 

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IRCの活動期間の上限

 

外国投資家がベトナムで法人を設立するときは、投資登録証明書(IRC。ベトナムにおいて法人設立という投資プロジェクトを実施することの登録手続を行ったことを証明する文書)を取得する必要があります。IRCには投資活動期間の記載があり、その期間だけ投資プロジェクトを実施することが認められます。その期間を超えて投資プロジェクトをおこなう場合には、IRCの更新手続を行わなければなりません。

  法人設立場所がハノイ・ホーチミンですと、会社の資本金額に関わらず、会社の事業活動の内容によって、投資活動期間が定められます。例えば、サービス業だと5年~10年、製造業だと20年間程度、不動産事業だと30年以上(土地使用権の使用期間による)程度です。

  しかし、ダナンでは、サービス業については、出資予定額によって投資期間が制限されてしまいます。例えば、資本金が約1億8,000万円(300VND)以下の場合には、投資活動期間が2年間に制限され、約6億円(1000億VND)を超えて初めて5年間の投資期間が認められます。ほとんどの会社は、資本金が300VNDを超えることはないので、2年ごとにIRCを更新することになるのですが、2年ごとに更新作業が発生してしまうことは、投資家にとって非常に大きな負担となっています。

 

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パートナー企業の特徴

 

ダナンでの不動産や観光系の大手ローカル事業者との合弁事業や、M&Aを進めるにあたって、以下の点を注意する必要があります。

ダナンの事業者は、大手でもグローバルなビジネスの商習慣等を理解していないケースが多いです。ダナンローカルの不動産や観光によって富を築き、外資との協力が必要でなかったため、外資企業の考えを理解することが困難という背景もあり、外資企業からするとダナンの企業を理解できないと感じることも少なくありません。外資企業は、このような背景を理解し、また、ダナンの人々は性格的にはハノイ・ホーチミンに比べても素朴でよい人柄の方が多いので、深いビジネスをするようになれば、良いパートナー関係を築くことができるものといえます。

地元の企業は、地元の暗黙のルールがあります。そのため、ハノイやホーチミンでのビジネスのルールを使って、地元の企業と交渉、調整する時は、誤解を招くか、失敗してします結果となります。

なお、ダナンに進出している日本の企業の数がまだ少なくないです(250社程度)。そのため、地元の企業は、日本企業や日本の商習慣に対するイメージが薄く、日本人・日本企業に対して、間違ったイメージを持っているケースも散見されます。

 

02 - ダナンにおける外資家向けの優遇制度

 

出典:ダナン市投資促進支援委員会

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ダナンハイテクパークにおける優遇制度 

 

優遇制度リスト

優遇制度の詳細

法人所得税

  • 15年間、法人税が10%に減税される(通常は20)

      資本金が3兆ドン以上の新規投資プロジェクトに対して、30年間法人税が10%に減税される

  • 4年間免税
  • 次の9年間法人税が50%の免税となる

輸入関税

  • 投資プロジェクトの固定資産取得のための輸入品に課される税が免税となる
  • ハイテク工業団地の投資プロジェクトに提供するために輸入される、国内で生産できない原料・物質・部品の輸入税が免税となる

土地リース料

      ※以下の分野に該当する投資プロジェクトは、全期間にわたり土地リース料が全額免除される。

  • ダナンハイテクパークで利用する交通・インフラ設計のプロジェクト及びハイテク運用・研究発展区及び訓練区、ハイテク育成区、ハイテク企業育成区、公共の公園を建設する投資プロジェクト

      ※以下の分野に該当する投資プロジェクトは、一定期間にわたり土地リース料が全額免除される。

  • 投資優遇一覧に属しない投資プロジェクト、ハイテク工業団地のインフラ建設プロジェクト:次の15年間の土地リース料が全額免除される。
  • 投資優遇一覧に属する投資プロジェクト:次の19年間の土地リース料が全額免除される。

 

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ダナンにおける集中IT地区への投資優遇措置・補助制度

 

優遇制度リスト

優遇制度の詳細

各種インフラ費用

  • 再定住とクリアランス補償金額の50%を補助

土地リース料

  • 共用技術インフラ施設の建設投資

土地リース料を全額免除

  • 集中IT地区への投資プロジェクト

労働者向けの賃貸住宅共同住宅を建設する投資プロジェクトの土地リース料は全実施期間を全額補助、また、全期間にわたり土地リース料が全額免除。その他のプロジェクトは11年間の土地リース料を全額補助免除

インフラ使用料

  • 情報技術の開発研究、応用、技術移転のプロジェクト、ITの人材育成、創業促進支援のプロジェクト

利用開始日から2年間の使用料を全額免除。次の3年間は使用料を50%免除

  • 投資奨励裾野産業一覧にある電子情報技術産業、ハイテク補助工業製品一覧に属する投資プロジェクト

利用権の受け日から開始日から2年間以内の50%使用料を50%補助免除

法人所得税

  • 15年間の法人税が10%となる
  • 4年間免税
  • 次の9年間法人税が50%の免税となる
  • 企業の固定資産取得、情報技術・製品生産提供のために輸入される商品に対する輸入税を免税する

 

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裾野産業向けの優遇制度

 

優遇制度リスト

優遇制度の詳細

技術研究・開発

  • 技術研究・開発を行う投資の中で、裾野産業向けの製品の試作品を製造する投資に対し、製造費用の最大50%の資金補助
  • 裾野産業関連製品向け研究開発施設の建設及びその研究装置の設置に係る投資に対し、関連費用の最大50%の資金補助

技術移転・イノベーション

  • 裾野産業関連製品の製造に関連した技術移転を行う投資の中で、裾野産業向けの製品の試作品を製造する投資に対し、製造費用の最大50%の資金補助

競争力向上

  • ベトナム産業財産権の登録費用を1回あたり3500万ドン補助

  (但し投資1件当たり2回までとする)

  • 国際産業財産権の登録費用を1回あたり5000万ドン補助

  (但し投資1件あたり1回までとする)

職業訓練・人材開発

  • 職業訓練を行う企業に対し、1人当たり最大3カ月以内の範囲で月に50万ドンの資金補助

  (但し1企業あたり50人までとする)

貿易促進・市場開拓

  • べトナム国内の国内外向け展示会において出店料金を全額免除
  • eコマースのウェブサイトの作成費を全額補助

 

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