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01 - ダナンでの投資環境の特徴 |
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異なる市場と行政対応 |
ダナンは、国内外の投資家が大きな関心を持つ都市です。この都市の行政対応は、ハノイやホーチミンに比較して、案件の処理速度において大きなメリットがあるのが特徴です。
しかし、実際に対応する場合には、投資案件の手続などで、実務的に、ハノイやホーチミンよりも手続が難航することもあります。たとえば、IRCやERCの取得に際し、外資企業に慣れていないことから法律等の規定と離れた不正確な要求が出されることもあります。また、外国からの投資件数や投資する分野・事業が限られているため、新しいスキームや、珍しい事業などでの申請ですと、保守的に判断される場合も多いです。
ただし、ダナン政府全体は、海外からの投資家を歓迎する方針を有するため、外資企業が困っている際には、地方のトップ機関である人民委員会と相談する機会を設けることができます。人民委員会との協議次第ですが、トップレベルの判断を知ることができるため、円滑に進められる場合もあります。
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IRCの活動期間の上限 |
外国投資家がベトナムで法人を設立するときは、投資登録証明書(IRC。ベトナムにおいて法人設立という投資プロジェクトを実施することの登録手続を行ったことを証明する文書)を取得する必要があります。IRCには投資活動期間の記載があり、その期間だけ投資プロジェクトを実施することが認められます。その期間を超えて投資プロジェクトをおこなう場合には、IRCの更新手続を行わなければなりません。
法人設立場所がハノイ・ホーチミンですと、会社の資本金額に関わらず、会社の事業活動の内容によって、投資活動期間が定められます。例えば、サービス業だと5年~10年、製造業だと20年間程度、不動産事業だと30年以上(土地使用権の使用期間による)程度です。
しかし、ダナンでは、サービス業については、出資予定額によって投資期間が制限されてしまいます。例えば、資本金が約1億8,000万円(300億VND)以下の場合には、投資活動期間が2年間に制限され、約6億円(1000億VND)を超えて初めて5年間の投資期間が認められます。ほとんどの会社は、資本金が300億VNDを超えることはないので、2年ごとにIRCを更新することになるのですが、2年ごとに更新作業が発生してしまうことは、投資家にとって非常に大きな負担となっています。
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パートナー企業の特徴 |
ダナンでの不動産や観光系の大手ローカル事業者との合弁事業や、M&Aを進めるにあたって、以下の点を注意する必要があります。
ダナンの事業者は、大手でもグローバルなビジネスの商習慣等を理解していないケースが多いです。ダナンローカルの不動産や観光によって富を築き、外資との協力が必要でなかったため、外資企業の考えを理解することが困難という背景もあり、外資企業からするとダナンの企業を理解できないと感じることも少なくありません。外資企業は、このような背景を理解し、また、ダナンの人々は性格的にはハノイ・ホーチミンに比べても素朴でよい人柄の方が多いので、深いビジネスをするようになれば、良いパートナー関係を築くことができるものといえます。
地元の企業は、地元の暗黙のルールがあります。そのため、ハノイやホーチミンでのビジネスのルールを使って、地元の企業と交渉、調整する時は、誤解を招くか、失敗してします結果となります。
なお、ダナンに進出している日本の企業の数がまだ少なくないです(250社程度)。そのため、地元の企業は、日本企業や日本の商習慣に対するイメージが薄く、日本人・日本企業に対して、間違ったイメージを持っているケースも散見されます。
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02 - ダナンにおける外資家向けの優遇制度 |
出典:ダナン市投資促進支援委員会
2 - 1 |
ダナンハイテクパークにおける優遇制度 |
優遇制度リスト |
優遇制度の詳細 |
法人所得税 |
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※資本金が3兆ドン以上の新規投資プロジェクトに対して、30年間法人税が10%に減税される |
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輸入関税 |
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土地リース料 |
※以下の分野に該当する投資プロジェクトは、全期間にわたり土地リース料が全額免除される。 |
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※以下の分野に該当する投資プロジェクトは、一定期間にわたり土地リース料が全額免除される。 |
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2 - 2 |
ダナンにおける集中IT地区への投資優遇措置・補助制度 |
優遇制度リスト |
優遇制度の詳細 |
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各種インフラ費用 |
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土地リース料 |
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土地リース料を全額免除 |
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労働者向けの賃貸住宅共同住宅を建設する投資プロジェクトの土地リース料は全実施期間を全額補助、また、全期間にわたり土地リース料が全額免除。その他のプロジェクトは11年間の土地リース料を全額補助免除 |
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インフラ使用料 |
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利用開始日から2年間の使用料を全額免除。次の3年間は使用料を50%免除 |
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利用権の受け日から開始日から2年間以内の50%使用料を50%補助免除 |
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法人所得税 |
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2 - 3 |
裾野産業向けの優遇制度 |
優遇制度リスト |
優遇制度の詳細 |
技術研究・開発 |
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技術移転・イノベーション |
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競争力向上 |
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(但し投資1件当たり2回までとする) |
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(但し投資1件あたり1回までとする) |
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職業訓練・人材開発 |
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(但し1企業あたり50人までとする) |
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貿易促進・市場開拓 |
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