公開 2025年04月10日  I 更新 2025年04月10日

Case Study NO.4|ベトナムにおけるブランドECサイト運営に関する法的検討

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Case Study NO.4|ベトナムにおけるブランドECサイト運営に関する法的検討


その他 公開 2025年04月10日  I 更新 2025年04月10日
目次

ベトナムでブランド公式ECサイトを展開する際の法的問題点等を解説! 本記事では、外国企業がベトナム現地法人と連携し、オンライン販売を行う際の外資規制、消費者保護法(2024年改正)、広告規制、個人情報保護政令(No.13/2023/ND-CP) に基づく義務とリスクを整理。

01 - 事案の概要

 

XXX社は、ベトナム市場向けに自社ブランド品をオンライン販売するため、公式ブランドサイトを立ち上げ、現地企業であるA社と連携したEC事業(以下「本EC事業」)を検討しております。

本スキームにおいては、以下の特徴があります:

  • ドメインはXXX社が保有し、Web開発と運営を行う。
  • EC事業を通じて、販売行為を行うのはA社(現地法人)

XXX社はA社に対してブランド品を卸売り(輸出) → A社から顧客さんに小売り)

このような事業形態において、外国企業によるオンライン販売、個人情報保護、広告規制、消費者保護等、多方面にわたるベトナム法の影響が想定されます。

 

02 - ベトナム弁護士による法的助言

 

法的論点①:輸出入・販売構造と外資規制の整理

 

  • XXX社がA社にブランド品を輸出する行為は、ベトナム商法第16条に基づき外国商人による貿易行為に該当し、ベトナム国内での事業活動には該当しません。そのため、XXX社からA社にブランド品を輸出(卸売り)を行うために、ベトナムでの現地法人を設立する必要がありません。
  • A社はローカル企業であり、ブランド品の輸入・販売(卸売り・小売り)を合法的に行うことが可能です。
  • ブランド品の区分により、輸入する前に、輸入ライセンスを取得する必要がある可能性があります(例:化粧品の場合は、事前の成分開示手続きを行う必要があります)
  • 輸入ライセンスを取得する必要であるブランド品の場合は、輸入者(A社)にて対応する必要があります、その場合、XXX社からA社に対してブランド品に関する情報(書類)を提出する必要があります。それらに秘密情報を含まれる可能性があります。そのため、XXX社とA社との間の秘密保持対策等を検討する必要があります。

 

法的論点②:費者保護法(2024年改正)への対応

 

  • 改正消費者権利保護法(202471日施行)では、外国商人も規制対象者に追加され、XXX社にも一定の責任が生じる可能性があります。
  • ECサイト運営者(XXX社)・販売者(A社)は、商品情報、保証条件、苦情窓口、返品ポリシー等をサイト上に明示する義務を負います。

提案された対応策:

  • サイト内に以下の項目を明示:
    • 商品情報(原産地、価格、配送条件等)
    • 保証ポリシー(返品条件・免責事項)
    • 問い合わせ先(苦情受付)
  • A社との契約において、商品情報の管理・更新義務を明確化しておく。

 

法的論点③:XXX社とA社との間の売買契約の構成

 

個別合意に基づく条文の構成であるため、省略します。

 

法的論点④:その他

 

ECサイトと広告規制】

  • XXX社は、ベトナムでは販売資格がなく、広告主の資格も有しないため、広告内容提供者としての立場にとどまります。
  • 広告前には内容の事前届出と審査取得を実施する必要があります。
  • 事実的な広告主(XXX社)と形式上の広告主(A社)の関係や、責任分担等に関する整理が必要です。

【個人情報保護政令(No.13/2023/ND-CP)への対応】

  • 本事業では、XXX社とA社が個人データ管理者兼処理者に該当します。
  • 顧客の個人情報(氏名・電話番号・住所など)を扱うため、以下の重たる対応が求められます:
    •       同意取得文書の整備:収集目的、処理内容、同意権撤回方法などの記載を明示(政令第11条)
    •       処理影響評価(DPIA)と越境移転影響評価の実施:データ処理開始から60日以内に作成し、保管
    •       プライバシーポリシーの策定と公開(政令第27条)

 

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