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01 - 事案の概要 |
XXX社は、ベトナムにおいて以下の3つの事業分野について、外国投資家として100%外資による法人設立が可能か否か、および事業登録における法的留意点について調査を希望されました。 ① コールセンター事業(留守番電話取次業など) ② 広告事業 ③ データ入力・事務代行業務(バックオフィス支援) いずれの業務も、将来的な日系企業向けBPOサービス展開を見据えたものであり、法的根拠と実務リスクを踏まえた事前整理が必要とされております。 |
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02 - ベトナム弁護士による法的助言 |
▶ 法的論点①:コールセンター事業(CPC 87903)について
- WTO上の約束はなく、ベトナム政府の裁量判断に委ねられています。
- ただし、日越経済連携協定(JVEPA)では、CPC 87903に該当する「留守番電話取次業」について、日本投資家による進出を無制限に許容すると明記されています。
- 登録可能な内容は、**「CPC 87903のみ」**に限定され、いわゆる一般的なコールセンター業務全般は対象外となります。
✅提案された対応策:
- 登録時には、「JVEPAに基づきCPC 87903を申請する旨」を明示し、必要に応じて管轄当局への説明文書を提出する準備が必要です。
- 当該業務は、条件付き業種ではないため、サブライセンスや最低資本金要件は不要です。
- 実際に本事業を登録できた外資企業の事例があるため、当局機関に説得する際に、取り上げられると思われます。
▶ 法的論点②:広告事業(CPC 871/VSIC 7310)について
- ベトナムは、広告事業に対して外資100%での進出を認めておらず、WTOコミットメントに基づき、ベトナム現地法人との合弁またはBCC契約(事業協力契約)により進出する必要があります。
- 出資比率には制限がなく、日本側は〜99.99%の持分保有が可能です。
- 合弁相手となるベトナム法人は、①法人格を有し、②広告業のライセンスを保有していることが必要です。
✅提案された対応策:
- XXX社が広告事業を実施する場合、ベトナム法人との合弁設立(又はBCC)が必須であるため、信頼できるパートナー選定が必要です。しかし、現地のパートナーの保有
- 広告内容が医薬品・健康食品・幼児用品等に該当する場合は、商品ごとの事前許可・証明書の確認義務があります。
▶ 法的論点③:データ処理・事務代行業務(CPC 843/CPC 87909)について
- CPC 843(データ処理)およびVSIC 6311(データ処理・賃貸)は、100%外資で登録可能な自由業種であり、資本金制限や追加ライセンスもありません。※資本金制限については、事業登録ための要件がないが、事業計画や、地域の特別な政策を思考する必要があります。
- 一方、CPC 87909(事務代行業務)については、WTOおよびJVEPAにおける明示的な約束がないため、ベトナム政府の裁量により許可の可否が判断されます。
✅提案された対応策:
- 事務代行業務については、申請書類に加え、業務内容の詳細説明書・他国での実績資料等を添付し、当局に対して説得的な説明を行う必要があります。実際に本事業を登録できた外資企業の事例があるため、当局機関に説得する際に、取り上げられると思われます。
- 登録には2~3か月の審査期間を要し、許可が下りない可能性もあるため、**バックアッププランの検討(例:合弁での登録、業務範囲の調整)**を推奨いたします。
◆結論と今後の対応指針◆ XXX社がベトナムにおいてBPOサービス事業を展開する場合、各業務の性質に応じた適切な進出スキームの選択と、条約・法令に基づく論拠の提示が不可欠です。
今後のステップとしては、以下の対応をご検討いただくことを推奨いたします:
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