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01 - 事案の概要 |
XXX社は、ベトナム現地法人YYY(XXXの子会社、外資100%企業)を通じて、広告サービス(主にデジタル広告)事業をベトナム国内で展開することを検討しており、その法的な進出スキームについて5つの案が社内で検討されております。 いずれのモデルも、ベトナムのWTOコミットメントにおける広告業に対する外資制限(※外国企業は、広告ライセンスを持つベトナム法人との合弁またはBCC形式による進出が原則)を前提として、YYY社がどのような形で広告事業に関与できるかのご相談です。 |
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02 - 弁護士による法的助言とモデルごとの評価 |
▶ オプション①:BCC契約
▶ Option 1:YYY社とベトナム広告ライセンス企業とのBCC契約(事業協力契約)
- 評価:△(リスク中程度)
- BCC方式は理論上可能ですが、手続が複雑で時間を要し、広告事業に関する実務が全て相手方(ベトナム広告ライセンス企業、以下、「Company A」と言います)名義での実施が必要となるため、コントロール権に課題があります。
- YYY社が間接的に資金・ノウハウ提供を行いながら、事業主導権を持てない構造のため、リスクマネジメントや権利保護の点からは不適切です。
✅推奨度:低(原則として非推奨)
▶ オプション②:業務委託契約
▶ Option 2:YYY社が資金・ノウハウを提供し、Company Aが単独で広告業務を実施
- 評価:✕(リスク高)
- YYY社とCompany Aの間には一般の業務委託の契約関係しか存在せず、YYY社は広告業務の直接管理ができない。出資や商標使用、技術支援に関する契約は締結できるが、出資回収や利益配分が保証されない。
- 外形的には脱法スキームと評価されるリスクもある。
✅推奨度:非常に低(法的・実務的に不安定)
▶ オプション③:合弁
▶ Option 3:YYY社とベトナム広告業ライセンス法人による合弁会社(JV)の設立
- 評価:◎(最も適切)
- YYY社がCompany Aと共同出資し、透明なガバナンス体制をもつ合弁会社(JV)を設立。事業実施主体をこの新会社とする。
- WTOの要件を満たし、管理・利益配分・契約の透明性が確保される。
✅推奨度:最も高い(法的に安定)
▶ オプション④:ノミニー投資
▶ Option 4:名義会社スキーム(ノミニー方式)
- XXX社が名義上のCompany Bを設立し、YYY社が資金提供・商標貸与・人材派遣契約等を結ぶ。
- Company Bを設立した後、YYY社がCompany Aの99%を取得。
- スピード優先型モデルとしては現実的だが、最終的には合弁会社として整理する必要あり。
✅推奨度:中〜高(段階的に合弁移行する前提であれば有効)
▶ オプション⑤:M&A
▶ Option 5:Company AがXXXの1%持分を取得 (M&A)→ YYY社が広告業追加申請
- YYY社が形式的に「合弁会社」となることで、広告事業の資格を満たす独自スキーム。
- WTOコミットメント上の実質な合として認めるかどうか、当局機関の判断に依存する。
✅推奨度:中(革新的だがリスクあり)
◆結論と今後の対応指針◆ 現在の法制度および実務運用に照らすと、XXX社(YYY社)が広告サービス事業を安全かつ効果的に展開するためには、以下の戦略を推奨いたします:
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