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01 - 事案の概要 |
XXX社は、ベトナム国内のショッピングモールにおいて、多数のテナントを誘致・運営しております。現在、同社はテナントの売上拡大支援の一環として、**Live Commerce(ライブ配信による商品紹介・販売)**をFacebookやモール公式サイト上で展開することを検討しております。 このスキームでは、XXX社の自社アカウント上で、テナントの商品・サービスが紹介され、視聴者(消費者)から直接注文・購入に至る構造となります。 この場合、以下のような外資規制・ライセンス・テナントへの請求可能性などの法的問題が想定されました。 |
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02 - ベトナム弁護士による法的助言 |
▶ 法的論点①:Live Commerceは「広告サービス」に該当するか?(外資規制の観点)
- ベトナムでは、WTOコミットメントにおいて「広告サービス」が外資制限対象分野に含まれております。
- しかし、広告法(No.16/2012/QH13)は、「広告主」「広告出版者」「広告サービス提供者」を明確に分類しており、外資規制の対象は基本的に「広告サービス提供者」に限定されると解されております(法第2条6項、14条)。
✅分析結果:
XXX社が行うLive Commerceは、自ら制作・配信するのではなく、テナントが作成した広告動画をFacebook等に掲載する行為にとどまります。よって、これは広告法上の「広告出版者」に該当し、広告サービス提供者ではないと評価されます。
したがって、XXX社のLive Commerceは外資規制対象とはならないと考えられます。
▶ 法的論点②:Live Commerceに必要なライセンス(仲介業登録)
- Live Commerceでは、XXX社がテナントと消費者の間に立って商品売買を媒介(仲介)する構造となっており、「商品売買仲介業」としての登録が必要になります。
- 政令No.09/2018/ND-CPにより、外国投資家であっても商品売買仲介業の登録は可能です。
✅必要な手続:
- IRC(投資登録証)上の投資目的の追加
- ERC(企業登録証)上の事業登録
- 個別ライセンスの取得
▶ この登録を経れば、XXX社は合法的にテナントと消費者の間でLive Commerceを展開することが可能です。
▶ 法的論点③:テナントへの手数料請求の可否(法的根拠)
- 仲介業登録を行った場合は、Live Commerceに関する「仲介手数料」や「利用料」として、テナントに対して請求を行うことが可能です。
- 一方で、登録を行わない場合には、仲介サービスの提供行為に対する請求が法的根拠を欠くため、請求が否定される可能性がございます。
✅弁護士の提案:
- 将来的な事業スキームの柔軟性確保と収益構造の健全化のためにも、商品売買仲介業の登録を早期に行うことが望ましいです。
- 請求書・契約書上も、明確に「仲介業務対価」として位置付けることで、税務・会計上のリスクを低減できます。