公開 2025年04月10日  I 更新 2025年04月10日

Case Study NO.5|ベトナムにおけるLive Commerce活動の実施

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Case Study NO.5|ベトナムにおけるLive Commerce活動の実施


その他 公開 2025年04月10日  I 更新 2025年04月10日
目次

ベトナムでのLive Commerce(ライブコマース)実施時に知っておくべき法的ポイントを徹底解説! 本記事では、外国企業がモール公式アカウント等でライブ配信を行う場合の広告規制・外資規制・商品仲介業登録・ライセンス取得・手数料請求の合法性 などを、ベトナム法に基づいて詳しく分析します。Live配信×EC×越境販売の実務対応に役立つ実践的ケーススタディです!

01 - 事案の概要

 

XXX社は、ベトナム国内のショッピングモールにおいて、多数のテナントを誘致・運営しております。現在、同社はテナントの売上拡大支援の一環として、**Live Commerce(ライブ配信による商品紹介・販売)**Facebookやモール公式サイト上で展開することを検討しております。

このスキームでは、XXX社の自社アカウント上で、テナントの商品・サービスが紹介され、視聴者(消費者)から直接注文・購入に至る構造となります。

この場合、以下のような外資規制・ライセンス・テナントへの請求可能性などの法的問題が想定されました。

 

02 - ベトナム弁護士による法的助言

 

法的論点①:Live Commerceは「広告サービス」に該当するか?(外資規制の観点)

 

  • ベトナムでは、WTOコミットメントにおいて「広告サービス」が外資制限対象分野に含まれております。
  • しかし、広告法(No.16/2012/QH13)は、「広告主」「広告出版者」「広告サービス提供者」を明確に分類しており、外資規制の対象は基本的に「広告サービス提供者」に限定されると解されております(法第26項、14条)。

分析結果:
XXX社が行うLive Commerceは、自ら制作・配信するのではなく、テナントが作成した広告動画をFacebook等に掲載する行為にとどまります。よって、これは広告法上の「広告出版者」に該当し、広告サービス提供者ではないと評価されます。

 したがって、XXX社のLive Commerce外資規制対象とはならないと考えられます。

 

法的論点②:Live Commerceに必要なライセンス(仲介業登録)

 

  • Live Commerceでは、XXX社がテナントと消費者の間に立って商品売買を媒介(仲介)する構造となっており、「商品売買仲介業」としての登録が必要になります。
  • 政令No.09/2018/ND-CPにより、外国投資家であっても商品売買仲介業の登録は可能です。

必要な手続:

  1. IRC(投資登録証)上の投資目的の追加
  2. ERC(企業登録証)上の事業登録
  3. 個別ライセンスの取得

この登録を経れば、XXX社は合法的にテナントと消費者の間でLive Commerceを展開することが可能です。

 

法的論点③:テナントへの手数料請求の可否(法的根拠)

 

  • 仲介業登録を行った場合は、Live Commerceに関する「仲介手数料」や「利用料」として、テナントに対して請求を行うことが可能です。
  • 一方で、登録を行わない場合には、仲介サービスの提供行為に対する請求が法的根拠を欠くため、請求が否定される可能性がございます。

弁護士の提案:

  • 将来的な事業スキームの柔軟性確保と収益構造の健全化のためにも、商品売買仲介業の登録を早期に行うことが望ましいです。
  • 請求書・契約書上も、明確に「仲介業務対価」として位置付けることで、税務・会計上のリスクを低減できます。

 

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