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01 - 事案の概要 |
XXX社(日本資本100%)は、ベトナム国内において、各店舗面積500㎡超の大型小売店をショッピングモール内に展開する計画を立てております。 本プロジェクトに関連し、以下の法的ポイントについて相談を受けました。
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02 - 弁護士による法的助言 |
▶ 論点①:小売事業展開に関する基本条件と必要登録
- 外資100%企業であっても、ベトナムにおいて単独で小売業を営むことが可能です(現地企業との合弁は不要)。
- 小売商品は、輸入品またはベトナム国内調達品いずれも取り扱うことができます。
✅必要な登録・許認可まとめ
活動内容 |
必要手続 |
留意点 |
小売販売 |
小売業種登録(IRC・ERC)+小売ライセンス(TRC)取得 |
小売業登録・小売ライセンスは必須 |
卸売販売(BtoB) |
卸売業種登録のみ(許可不要) |
石油・米など一部商品は例外 |
配送業務 |
道路貨物運送業種登録 |
外資規制あり(49%制限+合弁要) |
輸出入活動 |
IRC登録のみ(業種登録不要) |
明記は必要 |
✅配送業務の対応策
- BCC契約(事業協力契約)による現地配送業者との連携、または
- 配送業者委託型(配送業者が直接顧客から配送費を徴収)の採用を推奨いたします。
▶ 小売ライセンス(TRC)取得の留意点
- 小売店営業には、所在地を管轄する商工局からの小売ライセンス(TRC)の取得が必須です。
- 許可は販売商品ごと(HSコード単位)に取得する必要があり、未登録商品の販売はできません。
✅申請における注意事項
- 許可取得には通常数ヶ月単位の時間がかかるため、店舗オープン予定から逆算して申請計画を立てることが重要です。
- 今後販売予定の商品も含め、まとめてHSコード登録しておくことを推奨いたします。
- 小売ライセンス審査時には、現地調達比率(ローカルコンテンツ)への配慮を示すことが、許可取得をスムーズにする鍵となります。
▶ 論点③:小売店舗開設許可(2店舗目以降)と経済的ニーズテスト(ENT)
- 2号店以降の小売店開設には、原則としてENTの実施が必要です。
- 例外:店舗面積500㎡未満+ショッピングモール内+コンビニエンスストア/ミニスーパー以外の業態であれば、ENT不要となります。
✅CPTPPによるENT免除について
- ベトナムはCPTPP加盟国であり、2024年1月14日より、加盟国企業に対するENT義務は原則撤廃されることとなっております。
- しかし、実務上は、ベトナム国内での実施細則が整備されていない限り、ENT手続を求められる可能性が高い状況にあります(商工局ヒアリング結果による)。
✅対応戦略
- 2号店以降の開設計画にあたっては、事前に商工局と協議し、ENT免除可能性を慎重に確認すること。
- 必要に応じて、市場調査資料や地域経済貢献計画書を作成し、ENT審査に備えるべきです。
▶ 論点④:ECサイト運営時の登録・個人情報保護対応
- 自社ウェブサイトを通じて商品販売を行う場合、ウェブサイト運営通知(E-commerce Notification)を商工局に提出する必要があります。
- 加えて、ECサイト上で顧客情報(氏名・住所・電話番号等)を取得する場合には、個人情報保護に関する政令13/2023/ND-CPに基づく対応が求められます。
✅主な対応事項
- ECサイト運営開始前に、商工局へのウェブサイト登録通知完了
- サイト上に個人情報取得に関する明示的同意文言を表示
- 顧客データの管理・利用目的・保存期間などを明記したプライバシーポリシーの策定・公開
◆結論と今後の対応指針◆ XXX社がベトナムで大型小売事業を円滑に展開するためには、以下の点を総合的に実施することが必要となります:
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