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01 - 2024年ベトナムの各エリアの不動産市場のホットスポット |
1‐1 |
ハノイ:住宅価格が急上昇 |
ハノイでは住宅価格の上昇が顕著です。
· 住宅価格指数によると、2024年第3四半期時点で、150の主要不動産プロジェクトの平均価格は1平方メートル当たり約6,000万VND(約33万円)に達しました。これは2019年第2四半期比で64%の増加となります。
· 新規供給の増加にもかかわらず、需要が供給を上回り、特に低価格帯および高級マンションの価格上昇が続いています。
1‐2 |
ホーチミン:高価格帯で安定した不動産市場 |
ホーチミン市の不動産市場では、供給が限られている中で、初期販売価格が高値で安定しています。特に、都市部以外の周辺地域では、2024年に新規供給が増えたものの、価格は前年比で3~5%の上昇にとどまっています。
1‐3 |
ダナン:観光都市がもたらす高需給バランス |
ダナンでは、50%以上の新規供給が1平方メートル当たり8,000万VND(約44万円)以上の価格で取引されています。それにもかかわらず、観光都市特有の需要増加により、活発な不動産取引が進められています。
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02 - 不動産価格上昇の主な要因 |
ベトナムの不動産価格が上昇し続ける理由は、いくつかの構造的な理由によるものです。
2‐1 |
供給不足 |
過去数年にわたり、多くの不動産プロジェクトが法的問題や資金調達の困難に直面しました。また、不動産開発デベロッパーの資金調達や社債発行の不正により処罰や逮捕が複数みられ、新規プロジェクトの開発に関する許認可の取得が困難である状況が続いています。この結果、多くのプロジェクトが遅延または停止し、供給不足が市場全体の価格上昇を引き起こしています。
2‐2 |
土地関連コストの増加 |
· ベトナム国内の新しい土地価格表や価格計算方法の適用が土地コストを押し上げました。
· 特定地域での土地使用権の競売は、落札価格が初期設定価格の数倍に達し、近隣地域や市場全体の価格水準を引き上げました。
2‐3 |
投機的行動と市場操作 |
· 一部の不動産仲介業者が「価格吊り上げ」や「価格操作」を行い、市場の透明性を低下させています。
· 専門性や法的知識が不足しているブローカー的な仲介者が、不透明な取引を通じて短期的な利益を追求しています。
2‐4 |
投資心理の変化 |
経済の不安定性を背景に、不動産が安全な投資先として注目され、住宅や土地が「資金の避難先」として選ばれる傾向が強まっています。
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03 - 不動産分野のFDIの状況 |
2024年、ベトナムは外国直接投資(FDI)の魅力的な受け入れ先としての地位をさらに強化しています。総登録金額、実行金額ともに前年を上回る成長を記録しており、不動産分野は製造業に次ぐ主要な投資先として注目されています。
3-1 |
FDIの統計データ |
総登録金額:247.8億USD
· 2024年9月末時点で、FDIの総登録金額は前年同期比11.6%増加。
· 新規投資案件、投資額調整、外国企業による株式買収が含まれ、ベトナム市場への強い関心を示しています。
実行額:173.4億USD
· 実行されたFDIの金額は前年同期比8.9%増。
· 特に製造業と不動産分野が高い割合を占めています。
分野別投資状況:
· 製造業:139.6億USD、全体の80.5%を占めています。
· 不動産業:14.3億USD、全体の8.3%を占め、製造業に次ぐ第2位です。
3-2 |
不動産分野への影響 |
経済成長とインフラ整備の進展:
高速道路や都市鉄道の整備、都市部の再開発プロジェクトが進む中、不動産分野の需要が一層高まっています。
投資環境の改善:
2023年の住宅法、不動産経営法、2024年の土地法の施行が法的枠組みを強化し、外国投資家が参入しやすい環境を提供しています。
安定した市場需要:
ベトナムの人口動態、特に都市部への人口集中や中間層の拡大が、不動産市場の基盤を支えています。
専門人材の流入:
FDIによる外資企業の進出に伴い、海外からの専門家や管理職が増加し、サービスアパートメント市場が成長しています。
情報発信の発展
日本人の仲介者や不動産管理会社等より、ベトナム不動産への投資機会の情報発信が発展しています。また銀行に関する国際取引が緩和され、外国に居住しながらベトナムでの不動産の保有、投資ができるようになりました。