ブイ・ホン・ズオン

ベトナム国弁護士・和解調停人・破産管財人・社外監査役

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1. ベトナムへ進出 事前検討・判断事項

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日本からベトナムに進出するにあたり、以下の項目について事前に検討・判断する必要があります。

1. 目指す目的

 

ベトナムへの進出の主なきっかけや目的によって、進出のスキーム、進出形態、事業内容等に影響します。そのため、どのようなきっかけ(背景)をもってベトナムへの進出を検討するのか、一番目指す目的は何かという点について、まずクリアにする必要があります。それを前提に各種項目の検討を進めていくことを推薦します。

“例”

進出のきっかけ、目的 進出のスキーム、進出形態や、事業内容等の検討余地
  • 日本での実習期間を終了した技能実習生等がベトナムに帰国するため、それらの労働者の勤務場所を作ってあげたい

3つの選択があります。

     (1)  現地法人の設立

     (2)  帰国した労働者との雇用関係(ベトナムに居ながら日本本社との雇用契約を結ぶ)

     (3)  帰国したベトナム人が自分でローカル会社を立ち上げ、その会社と日本の会社との業務委託契約を結ぶ

  • ベトナムの労働力・国内原材料調達・工場の建設リースのコストが低い、税制の優遇、ロジスティクスの発展等を利用し、製造事業を行いたい。(ただし、本格的な工場に投資するまでの余裕がない)
現地の製造者と加工委託契約や、OEM契約を結び、それに基づき、製造委託を行う方法も検討可能
  • ベトナムの優秀な高度人材(IT業など)を確保して、日本に送りたい
現地のIT事業会社を設立し、その現地会社に優秀なベトナム人材を雇用して、一定の期間(最低12か月)にベトナム現地法人で勤務しつつ、研修を受けさせてから、日本に「企業内転勤」の形で本社に派遣することも検討可能

 

2. ベトナムでの事業目的

 

次に、ベトナムでどんな事業を行いたいのか、どのような投資活動を計画されるのかを決めなければなりません。

     “ポイント“

  • 投資・経営の禁止事業・分野に該当してはいけない
  • 投資・経営の禁止事業・分野に当てはまらないが、ベトナム政府がまだ開放していない事業・分野に該当する場合には、個別申請・承認を受ける必要があること
  • 条件付投資・経営事業・分野にい該当する場合には、その条件を満たす必要があること
  • ベトナム事業内容のリストは、日本より詳しくないため、どの事業内容を選択すれば、計画される事業活動を実施できるかについて、専門家と相談して、しっかり検討する必要がある。

 

3. 進出形態・ビジネススキーム

 

どんな進出形態で行うのかについて事前に検討し、事業活動等に一番適切な方法を決める必要があります。進出形態は、以下のものから選択することができます。

(1)   直接投資(現地法人の設立) (2)   間接投資(M&A(既存の企業の株・持分の購入)
単独出資で現地法人の設立 ベトナムパートナーと合弁で現地法人の設立 既存会社の株・持分の取得 既存会社の分割・吸収によって、株・持分の取得
(3)BCC契約(事業協力契約)
(4)PPP(官民協力方式)による投資

       

 (※ベトナムへの投資形態についてをご参考

進出形態の検討と同時に、ビジネススキームの構築も必要です。ビジネススキームの構築は、事業活動等によって色々検討することができます。例えば、商品を販売する事業を行う際に、(1)直営、(2)代理店、又は(3)フランチャイズ等というもの選択があります。

4. 事業計画

 

事業の規模や会社設立してから少なくとも3年間の事業計画を立つ必要があります(ベトナム当局期間にも提出・説明しなければなりません)。

  •   いくらの資本金で出資するか(最低資本金を求める事業の場合には、その最低資本金で出資する必要があります)(※現地法人設立についてをご参考
  • 調達資金を予定するかどうか
  •  会社設立後の3年間の売り上げ・利益の計画
  •  雇用者の数等

 

5.  事業場所(会社の住所等)

 

  • 国境を超えたサービスの提供以外の進出方法では、住所(工場の場所、会社の本店、支店・駐在員事務所の場所、BCC管理事務所の場所等)を決める必要があります。土地使用権が必要となる投資プロジェクト(不動産投資プロジェクトや工業団地での工場等)の場合は、土地使用権または工場を確保することは、最も重要です。
  • また、拠点を置く場所(ハノイ・ホーチミン・ダナンもしくはその他の地方)によって、若干進出手続や各種規制、優遇制度が異なります。

 

6. その他

 

その他の判断・検討事項は、事業内容やビジネスモデルによって異なりますが、一般的には、以下のものを推薦いたします。

順番 検討事項
(1)

手続き関係(どのような手続が必要であるか、それぞれの手続きを行うための費用、期間等)※現地拠点を設立した後、個別ライセンス(“例”:小売りライセンス、教育活動ライセンス、人材紹介事業ライセンス等)の取得が必要であるかどうか。

(2) 人事・労務関係
  •  外国人労働者の労働許可証・レジデンスカードの取得に関する手続き・費用・規制
  • 人材採用・開発戦略の立案
  • 労働契約、就業規則、労働組合設立支援、労働交渉・紛争等に関する制度の整備
  • 待遇制度の構築
(3) ブランドの確保
  •  商標登録
  • 類似品・正規外品の管理
  • ベトナムでの自社商標等への侵害行為の調査・対応
 
                                                   
 
                                                      写真家 弁護士 レ・ヴァン・ホア

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