公開 2025年04月08日  I 更新 2025年04月08日

ベトナム投資のメリット|外国投資家が享受できる3つの特別優遇措置

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ベトナム投資のメリット|外国投資家が享受できる3つの特別優遇措置


投資・進出 公開 2025年04月08日  I 更新 2025年04月08日
目次

外国投資家にとってベトナム市場への参入は一見厳しく制限が多いように思えますが、実はベトナム法には外国投資家のみが享受できる特別な優遇措置が数多く存在します。投資家保護制度、柔軟な人材採用制度、自由な準拠法選択など、外国投資家が意外と知らない有利な仕組みについて、ベトナム投資専門の弁護士が詳しく解説します。

外国投資家がベトナムへ投資する際、ローカル企業に比べて市場参入に伴う条件や制限に直面し、慎重になることが多いです。具体的には、現地企業との合弁事業の義務付け、各種特別許認可(サブライセンス)の取得要件、市場参入条件の確認手続きなど、国内投資家よりも厳しい条件が設定されるケースが一般的です。

しかし一方で、ベトナムの法制度には外国投資家が現地投資家より有利に扱われる措置や制度も存在します。外国投資家はこうした優遇措置にあまり関心を払わない傾向がありますが、実際には投資活動においてメリットとなる場合があります。以下では、外国投資家が国内投資家より有利に扱われる具体的な規定や制度について詳しく解説いたします。

01 - 投資家保護制度

 

投資家保護制度とは、投資受入国(ベトナム政府)が外国投資家に対して投資条件を明確に保証し、投資家の合法的な権利と利益を保護するための制度です。主な保護措置には以下のような内容があります。

※これらの保護制度は、公正かつ差別のない扱いを保証するものです。

その中、外国投資家がベトナム国内投資家よりも明らかに有利な立場を享受することができるのは、紛争解決に関する保護メカニズムです。具体的には、投資家への保護等に関して争議や苦情が生じた場合、外国投資家はベトナム政府を相手として、投資家の本国とベトナムとの間で締結された各種投資協定に基づき、国際調停機関または仲裁機関(例:国際調停評議会、国際仲裁機関)に紛争を提起することが認められています。

例えば、20031114日に締結された「ベトナム社会主義共和国と日本国間の投資自由化・促進・保護に関する協定」によれば、投資紛争が当事者間で3か月以内に交渉によって解決できない場合、外国投資家の要請により、紛争は次のいずれかの方法で解決されます。

  • ワシントン条約(ICSID条約)による仲裁・調停
  • 国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)の仲裁規則による仲裁

仲裁の判断は最終的であり、紛争当事者双方を法的に拘束します。この仲裁判断は、実施される国の地域における現行の法令および規制に従って執行されます。

これはベトナム国内投資家が利用できない特別な制度であり、実際にベトナム政府は過去に外国投資家との紛争を経験し、外国投資家に対する不適切な扱いが国際仲裁リスクにつながることを判明しています。

 

02 - 国境を越えた人材採用の特例制度

 

ベトナムの法律は、外国企業が企業内異動契約(イントラカンパニー・トランスファー契約)に基づき外国人従業員をベトナムで勤務させることを明確に認めています。この制度では、従業員はベトナムの労働許可証を取得できますが、ベトナム国内で新たに労働契約を締結する必要はなく、ベトナム労働法の適用も受ける必要がありません。この制度の利用条件は以下の通りです。

  • 異動元企業で12か月以上の雇用実績があること
  • 企業内異動に関する契約が存在すること

また、この場合、社会保険への加入義務も免除され、ベトナム労働法の規制も適用されません。

さらに、外国企業はベトナムに居住するベトナム人従業員を直接雇用することも可能です。雇用主がベトナム国内に拠点を持たない海外企業の場合、ベトナムの労働法規制に縛られることなく柔軟に従業員を雇用することができます。

 

03 - 外国要素を有する契約・取引における準拠法の自由選択

 

ベトナムでは外国要素を有する契約や取引について、当事者が自由に準拠法を選択することが認められています。適用される法律としてベトナム法、日本法、あるいは第三国の法律を選択することも可能です。

また、紛争解決機関についても、当事者の合意に基づき任意に選択することができます。一方、国内取引においては準拠法や紛争解決機関を自由に選択することは認められていません。

このように、外国要素のある取引に限っては、当事者が自主的に適用法令や紛争解決方法を決定できるメリットがあります。

 

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